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COMPLETE!


こちらは捏造だらけの
メラック中心?
特殊形式WEB小説です!
うっすらアルカヴェです。

すべてを大捏造しているため、
なんでも許せるかたむけです!

XXX:\Users\■■■■■>
sudo recall -target history.log

'追憶' は、 内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチ ファイルとして認識されていません。

続行するには ■■なる■■■■■実行マトリクスのシステム再構築が必要です。

システム再構築の詳細は、
……、……。
……。
エラー、エラー。

指定されたパスが見つかりません。
読み込むべきデータがありません。
参照するべき記憶がありません。


死者との再会は不可能です。
歴史の復元は不可能です。

過去に戻ることはできません。
その指が零したものは、取り戻せません。


朽ちゆくものは、朽ちゆくだけ。
それはもう 手が届かないぐらい
ふるい とてもふるい できごとなのです。

……。

注釈:これは、**********回目のエラーです。
砂にまみれたこの心臓コアは、
かつて築いたあらゆる繋がりパスを失いました。


崇高な夢があったはずなのです。
大切な約束があったはずなのです。


冗長性を確保してたいせつに頑健性を担保してたいせつに
けっして忘れることのないようにと、命じられていたはずなのに。


「ほら、この世界のどこにも、
 永遠なんてないのよ」


——————誰かが、そう、笑った気がした。

……。

はじまりは、花でした。

荒れ果てた砂漠の地で、
夜色の睡蓮とともに
わたしたちは花開きました。


わたしたちを育んだせせらぎは、
ほかならぬ花の女主人の

傷だらけのかかとから
流れ出したものでした。

彼女に傷を負わせたのは、世界の支配者、天の理だそうです。

遠い昔、彼女の背には"天の使い"の証たる翼があり、天空の輝かしい国で、偉大なる天の理に仕えていました。  
その、永遠とも呼べる日々に、
あるとき転機が訪れます。

 
最上位の天の使いの号令で、使いたちと人々は、天の理に反旗を翻し、"天空と星々のむこう側"を目指したのです。

そうして、すべてが砕け散りました。
 
高天の支配者は、人々が "天空と星々のむこう側"を知るのを許しませんでした。
 
天の理による罰は苛烈で、神の使いたちは輪郭かたちを奪われ、おぼろな仙霊となりました。彼女は実体からだを失うことこそ免れましたが、美しい翼を奪われました。

砂海に打ち捨てられた彼女は
花の神に、 オアシスの女主人に、
そして、 二柱の魔神の友人になりました。

一柱は、世界樹の化身、草木の神。
花の女主人は、聡明な彼女に謎かけをしました。

滅びを耐え抜き、高天にも屈さぬ強さを秘める、
ある種の『永遠』とも呼びうるものはなにか、と。

草木の神は、『終わりのない知恵』と答えました。
幾度滅んでもふたたび芽生え、再生するもの。
それこそ、破滅を超え、文明を守るものであると。

花の女主人はその答えに満足し、
彼女と友人になることを決めました。

そしてもう一柱は、烈日の君主、赤砂の王。
花の神に惹かれ、彼女を伴侶とした者です。

赤砂の王は、草木の神とは全く異なる者でした。
彼は、花の女主人が語る『理』を解さず、
彼の思う『永遠』を追い求めました。

彼自身の野心のために、 そして、高天に多くを奪われた伴侶のために、
"天空と星々のむこう側"を目指したのです。

この幸福な一瞬を、永遠にしたい。
もしかしたら、かの王を突き動かしたのはただそれだけの想いだったのかもしれません。

けれど、花の女主人は知っています。
『永遠』とは、けっして楽園ではない。それは削ぎ落せぬ汚濁にすぎず、この世界に彼が望むかたちの『永遠』はないと。 ならば世界の外側を、と彼は手を伸ばすけれど、深淵に触れた者に訪れるのは、むごたらしい破滅にすぎないと。

しかし、——————しかし。
それでも彼女は、赤砂の王の夢のために、その身を捧ぐと決めたのです。

"月明かりは​​掌を​去り、​砂礫の​城は、​​孤高の​銀​光を再び頂く。夢の​伴侶が陽に​燃ゆるさまを、どうか、​覚えていて"

赤砂の王に、境界の向こう側に届く知恵、深淵の知識を授けるため。自身を​橋に、​オアシスを​代償に、花の女主人は烈日に身を投じました。​

空には黄砂が舞い上がり、大地を砂嵐が覆いました。赤砂の王はその嵐から帰還しましたが、花の女主人はもう、戻ることはありませんでした。

赤砂の王は彼女を失うという同時に、立ち止まるという選択肢も、失ってしまったのかもしれません。王の狂想は、以後、ますます苛烈になっていきました。

蓮から生まれたわたしたちジンニーは、
赤砂の王を新たな主にしました。
管理権限なまえを捧げ、彼の計画の一部となりました。
花の神の遺児、知恵の造物計算機構である我らを
赤砂の王はいたく重用し、機構のコアに織り込みました。

目指せ、世界の境界の果て、此岸のむこうを。
壊すべきは旧い規律、創るべきは新たな定理。

幾千の知恵、​幾千の​魂をひとつに束ね、
高塔を築け、高天に叛逆せよ。
誰も苦しまず、悲しまない、真なる楽土を築こう。

黄金の夢——————彼岸の永遠を。

それだけが、彼女の死の『意味』なのだから。

千の​宮殿を​築き、 ​三千の​機械を​統制し、​ 万の滅びし花を​育て、
大地にあるすべての​知性体の​ために、
​砂海に​埋もれた​『楽園』を​ふたたびここに。

目指すべきは偽りの天蓋を超えた彼岸。

この永遠こそが我らが命題。
この理想こそが我らが意義。
この夢こそが、我らがすべて。
'永遠' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。


'理想' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。


'楽園' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。


'忘却' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。


'解放' は、内部コマンドまたは外部コマンド、
操作可能なプログラムまたはバッチファイルとして認識されていません。


指定されたパスが見つかりません。
指定されたパスが見つかりません。
指定されたパスが見つかりません。

……。

あれから、どれほどの時が経ったでしょうか。
多くの国が生まれては、多くの国が滅びました。

崇高なる夢、永遠の約束。
そのようなモノのために、存在してたはずで。
けれどもう、多くのことを、忘れてしまいました。

「思ったの。神なんてものは最初から、世界の蛇足なのではないかって」
——————いつか、そう笑った誰かは、少しだけ、悲しげで。

「神王の​狂想と​破滅を​経て​こそ、​只人たちは​神の​意志に​背いて​奮起できる」
「草木の主が言った通りね」
「​万物の希望とは、​きっと、​平凡な​人々の営みの​なかにこそあるのよ」

ならば、
ならばわたしたちは、なんのために。

……。



「すいません! こちらの品は、おいくらになりますか?」
「ああいや、香辛料じゃなくて、こちらの……」
「え? ガラクタ? なにを言ってるんですか、キングデシェレト時代の立派なコアで……」
「………はあ!? そんなモラ、持ち合わせてるわけないだろう! 本当だって、僕の手持ちは……」
「…………、……。分かりました。それでは、こちらで」


「……どうしよう、有り金全部使ってしまった。今晩は野宿だ」
「けれど、この出会いはなにか善いことの前触れだ。そうだろ?」  ——————それは、問いかけコマンドでしょうか?
 けれどすいません、■■■には発話の機能モジュールはなく、この身体ハードではなにも返せぬのです。

 黙ったままの■■■に、そのヒトはそっと微笑みました。
「きみになにか、素敵な名前をつけないとな」

 そのヒトは、ボロボロの心臓コアを根気よく改造し、
 新たな身体ハードを創ってみせました。

「きみは僕の相棒だ。だったらその名前にも、理想のようなものを込めるべきだろう」
——————理想。それは、悲しいコトバです。
  多くの者たちが、理想ゆめのために足元を掬われたのですから。

「僕は建築を通して、世界になにかを残したいと思っている。天穹と星々をも越える永遠をね」
——————永遠。それもまた、悲しいコトバです。
 蜃気楼のように生者を惑わし、破滅に誘うものなのですから。

「掲げたい言葉は、いくつもある。——————けれど、僕の心に、焼き付いているのは」
 沈黙ののち、そのヒトは言います。

XXX:\Users\Kaveh>
sudo set-device-name Mehrak

登録 完了しました。

メラックMehrak。光、あるいは愛を示す語に、縮小詞akを加え、『小さな光』か」
「なんだよ、知論派として物申すことでも?」
「まさか。偉大なる大建築士殿の美的センスに物を申すような勇気はないよ。……ただ」
「ただ?」
「キングデシェレト時代のコアにこのような親しみやすい造形を与え、名前に縮小詞まで伴わせるのは、きみらしい感性だ」
 新たな主人≪カーヴェ≫のこめかみが、ひくりと動きます。
「やっぱり嫌味じゃないか!」
「心外だな。誠意を込めた賞賛だろう」
 主人の同居人≪アルハイゼン≫は、≪メラック≫を見て言いました。
「家屋の中に灯す光は、偉大なる烈日では困る」
 ≪カーヴェ≫は、心の中を言い当てられたように、気まずげに口をつぐみました。

 カーヴェ。そして、アルハイゼン。
 二人の家で、メラックは新しい仕事をたくさんもらいました。

 製図補助——————これは少し、昔の仕事タスクと似ていますが、
 平凡な人々が暮らす家を作るというのは、とても新鮮です。

 お買い物——————これは、まったく新しい役割です。
 二人が飲むもの、食べるもの、語らいながら分かち合うもの。
 ありふれた幸福に寄り添うそれらを用意する、
 とても、とても重要な課題です。


 二人の「おかえり」と「ありがとう」がいまのメラックの励みです。

この家は永遠ではないから、
いつか終わりが来るのでしょう。

この家は楽園ではないから、
二人は他者のままなのです。

それでも、他者と他者として語り合えること。
いずれ終わる日々をくり返していくこと、
その、ありふれた人々の営みこそが、

——————あのかたが語った、『希望』なのでしょうか。

そう、呼んでくれた貴方と、
お別れが来るいつかまで。

ここまでお付き合いいただき
ほんとうにありがとうございました!

非常に恐縮なお願いなのですが、
WEB知識ほぼゼロから頑張ったので、
もし楽しんでいただけたら、
Waveboxに絵文字をいただけると
大変うれしいです……!

牛原 捧